気づきの覚え書き

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ストーリーの終わり

まさかと思っていたけど、とりあえず潜ることになった。
Kが経験したいと言って、飛び込んでいった後を追うことに。

それは危険と言われていたプログラムだった。
八方塞がりで、感覚を閉ざした世界。
無力感にさいなまれる、恐ろしく制限のある冒険。

Kは、自信たっぷりだった。
大丈夫、自分は余裕で戻ってこれるって。
光に満ち、永遠の安定が続いている生活がつまらなくなったらしい。

だけど、万が一、少したっても戻って来れなかったら、
追いかけて来てくれないかと。

プログラムの映像は、遠い地球という星をシミュレーションしている。
真っ暗な洞窟のような宇宙に小さく青く光る星。
黒く広がる映像に飛び込むのは、かなり勇気がいることだ。

しかも、飛び込んだが最後、そこがプログラムだということを忘れてしまう。
映像の中では、なんの保障もない。

その真っ暗な世界で、いったい何を経験しようというのだろう。

しかし約束は約束だ。思い切って映像の中へ突っ込んだ。

長く暗いトンネルの中をくぐりながら、
これは映像の始まりだと、まだ覚えていた。

そして、頭が締め付けられるような感覚があり、
薄暗い世界に飛び出ることになった。
声をあげずにはいられなかった。

絶叫するように叫びながら、ほんのわずかな記憶の片隅で、
「Kはどこだろう」という疑問が浮かんだ。
すると、そこにいた。
Kは、大きく、私を抱き上げた。

もう、それが最後の記憶であった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どれくらいたっただろう。

Kは年老いた。長いこと床についている。
目をつむったままだ。心音だけが続いている。

私もまだ、この世界が映像であることを思い出せなかった。
必死に育ち、必死に働き、なんとかやってきた。

このプログラムほど、スリルとサスペンスの連続ストーリーはない。
パンチが強すぎる。

私はすっかり全てを忘れて、そこに埋もれていた。
ミイラ取りがミイラになったのだ。

救いだしてくれたのはKだった。

Kの床の回りにみんな集まっていた。
もう最後だと言われ、みんなKの顔を覗き込んでいた。

一瞬だけ、Kは力強く目を開けた。
そして、私にこう言ったのだ。

「おい、もどるぞ」

その目の光が、私に全てを思い出させた。

Kは、ストーリーから抜け出した。

誰もが泣いている。

しかし、私は・・・


笑い出しそうになるのをこらえた。


Kは、なんとか無事にもどった。

肉体がまだ若いので、私は傍観者としてそこにいた。

不思議だ。記憶を取り戻すと、この薄暗い世界は不思議だ。
全て茶番であるにもかかわらず、
誰一人、茶番であることに気づかない。

・・・・・・・・・・・・・

葬式が終わり、薄暗い世界の日常がもどってきた。

興味本位でホラーマンガを読むように、
楽な気持ちでいたらいい。

誰かが電車の中に置き忘れたマンガを手にとってしまっただけなのだ。

ずいぶんエグいマンガだ。

自分のストーリーだけは最後まで読むしかないけど。

時にはほっとする光景もある。

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あの光に満ちた永遠の安定の世界に比べたら、
100億分の1にも満たないが。

マンガの中に入ったことは奇跡だ。
こんな経験は2度とないだろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

やがて、時間というものが流れ、

私も床についた。

もうすぐ私のストーリーも終わるらしい。

またKの笑顔をみることができるだろう。

そして、この薄暗いストーリーの私も、

かき消されてしまうだろう。

記憶もなくなってしまうだろう。

不思議なストーリーが終わるのだ。
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by wakeup71 | 2016-05-28 19:33 | スピリチュアル | Comments(2)
Commented by meme at 2017-04-16 12:36 x
はじめまして。
イネイトで検索して出会いました。
ヨガナンダのこととか非二元、ジュンコセレンディーさんのこととか、自分ともダブるところが合って興味深かったです。
この記事も素晴らしいなと思ったのですが、これは創作ですか?それとも実話でしょうか?それが気になりました。
私も、早くこの薄暗い世界から出たいです。
Commented by wakeup71 at 2017-04-23 08:34
こんにちは。お返事おくれてすみません。
私もまだまだ探求ばかりです。(笑)
このストーリーは実話ではありません。
ただ、こんなストーリーが頭に浮かんだだけです。
子どもの頃、幼稚園くらいの記憶に、
この世界は、ごっこ遊びなのに~みたいに思ったことがあります。
その頃はアイデンティティもなく、
やりたいように生きてました。
ポケットにつっこまれたハンカチはぐしゃぐしゃ、
気に入らないお友達はたたく、
そんな毎日だったように思います。

その頃のことをずーっとつっこんで、
思い出していたら、こんなストーリーが浮かびました。
案外実話かもしれません。