気づきの覚え書き

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母をうらんでいる人に

今日は母の日。
父が亡くなって、もう7年近くなる。早いものだ。
残された母は、かなりガタガタと参った。

母は、写真館を営む家に生まれた。
5人兄弟の2番目。米軍近くにあった写真館は、
終戦後も繁盛し、カメラも扱うようになったら、
店が大きくなり、ビルを構えるようになった。
母は、忙しい店を手伝いながら育ち、
いつも兄弟の面倒をみて、家事もやっていた。
家はきびしく、子どもを従業員と同じように扱っていた。
だから、母はそんなふうに夫や子どもを扱っていた。

父は母と正反対の学者肌だったから、
生活の歯車は合わなかった。
相手の様子をみて声をかけるということは、母はしない。
自分のペースで、急にどなりつけたり、
手伝いを頼んだり、というのが始終だった。
母はいつも、父にイライラしてるように見えた。

だから、父が亡くなったとき、私は、
母が自由になって、のびのびするだろうと思っていたら、
そうじゃなかった。
意外にも、ぐったりしてしまったのだ。
あんなにいつも、父に悪態をついていたのに。
役所の手続きも一人で行けない。
しっかりしてるようで、何も自信がない。
結局、私が仕事を休んで、
父の死後の手続きをしなければいけなかった。

まあ、とにかくそんな母だ。
こんなことを言ってはなんだが、
私も弟も、ずいぶん辟易した母だ。
母の浪費癖にも、ずいぶんやられた。

今では、軽度の認知症を患い、
やはり、ほっておけない状況だ。

弟は、母のことを反面教師だと思ってる。
私もそうだ。
実に、軽く弱くヒステリックで、生き方に疎い人だ。
母のようになってはいけない。
そう思って育ってきた。



しかし、もしも私達の世界がストーリーだとして。
(いや、実際そうなのだが)
私や弟のような人間が登場人物として必要だとしたら。

つまり、親に頼らず、仕事をして自立し、
しっかりと家庭を築くようになるという
男の子と女の子の子どもの役割が必要だとしたら。

どんな親が必要か。

一人は、かしこさを育て、相談ごとを聞く愛をもった父親。
一人は、衣食住は与えるが、愛を与えず、乱暴な母親。

たとえ、この先どんなに過酷な社会になっても、
父親の与えた知性と愛を胸に持ち、
母親の反面教師を見て、生き方を学ぶだろう。

事実、私達はそのように育った。

もしも、それが計画されたものだとしたら、
反面教師の役割をする母は、
悪役を引きうけるためにこの世に生まれたのだ。
そして、母を悪役にするためのお膳立てが、
母が生まれ育った環境である。
それは、けして楽な環境ではなかったろう。
きびしいながらも経済的な余裕があった家庭は、
ストレスが全部浪費になった。
お金の使い方を学ぶことはなかった。

母は、私と弟を生むために、
その人生を生きなければいけなかった。
としたら。。。

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母は、たくさんのカルマを引き受けて、天に昇る死に方ができないかもしれない。
もっとも損な生き方をしてしまったかもしれない。

それは、私と弟を生むために。

そういうことを思ったとき、
実に、私は初めてといっていい、
母に感謝した。
その役割を引き受けてくれてありがとう。

せめて、この先、母のカルマが少しでも無くなるように、
おだやかに暮らせるように。

もしも、現在、母を恨む気持ちでいっぱいの人がいたら、
確かに、その人の母は困った人なのかもしれない。
しかし、同じように自暴自棄になって、
怨みの人生になるよりは、
「母のようにならない」という信念で、
現在を生きている子どもさんではないだろうか。
彼女を反面教師にして、強く生きている人ではないだろうか。

そして、そんな強い人がいる理由が、
その人のいる環境が、次の世代を育てるのだ。
そのためにこそ、その母がいたのだ。



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by wakeup71 | 2017-05-14 22:21 | 日常生活 | Comments(0)