気づきの覚え書き

wakeup71.exblog.jp
ブログトップ

ネイティブアメリカンと弁護士


満ち足りた成熟文化の中の貧困

彼はインディアン保護区の、砂漠におかれた、
トレーラー式の移動住宅に住んでいた。
保護区の砂漠には灌木とサボテンと砂以外には何もない。

車は七十年代のシボレーで、車体はでこぼこ、
窓ガラスがない、ドアはあるというありさまだ。
食べ物やガソリン、衣類などは、ヒーリングのセレモニーの報酬として
地元の住民から受け取るというライフスタイルである。

必要なものはだいたいすべて、そうして手に入れていた。
彼の現金での年収は、おそらく五ドルにも満たなかっただろう。
年間に彼が消費したものを市場価格に換算すれば、
五千ドルにもならないに違いない。
現代の西洋文明という基準からすれば、極貧の生活といって間違いない。
彼の場所から周囲三十キロに住んでいる二百から三百の家族は、
彼と同じ部族の人びとであり、ほぼ彼と同じ生活をしている。
彼らは例外なく「貧しい」生活をしている。

しかし彼らには、病気になれば、世話をしてくれる人びとがいた。
食べ物や着る物が必要であれば、隣人が提供してくれる。
困ったことがあれば、相談相手になってくれる人がいる。
彼の場合も子どもが一人いたが、子どもに何か必要なものがあれば、
それは必ずどこかからやってくる。

年をとれば、誰かが面倒を見てくれることを彼は知っている。
いま住んでいる家がだめになれば、皆が手伝って新しい家を建てるか、
新しい家を探してくれるだろうことも彼は知っている。
彼にどんなことが起こっても、
それは共同体全体のこととして対処してもらえるのである。


有り余る中の貧困

弁護士として非常に成功を収めている友人がいる。
この友人は、物質的な豊かさに囲まれた生活をしている。
上等な家具とカーペットのある高級住宅に住み、
メルセデスベンツの新車を持ち、十万円のスーツを着た生活をしている。

にもかかわらず、ウェティコ文化(勝ち負けの文化)特有の
貧しさのどん底で喘いでいる。
スピリットがない、時間がない、生活の安定が保障されていない、
仲間によるサポートもない・・・
彼の人生には安定した土台というものがないのである。

おまけに、人生の意味といえば、収入のレベルを上げて、
さらに物質的な喜びを高めることしかないように見える。

「いま失業したら、あなたはどういうことになる?」

「別な法律事務所に勤めることになるかなあ」

「弁護士の仕事がなくなったりしたらどうする?
 不景気かなにかで、クビになったりしたらどう?
 それで病気になったりしたら?」

「会社の保障がない場合?」

「そう」

「俺は死ぬだろうね」


///////////////

原題は「The Last Hours of Ancient Sunlight」
邦題は「ウェティコ 神の目を見よ」
引用は、トム・ハートマンという心理学者の著作でした。

ウェティコ とは、ネイティブアメリカンの言葉で、

「自分を支配者あるいは征服者とみなしている者」 だそうだ。

2年前にこの本を買っていた。
神との対話で、人類に示唆を与えた本として出されていたからだ。
でもあの時の私には、この本の内容をすべて理解するのはむずかしくて、
流し読みしていた。
それなのに、今は文章が頭に染み通るようにわかる(^^;)
精神世界系の本を読みあさり、心理学本、経済本、社会本、・・・
地域通貨、ベーシックインカム・・・いろんなことを調べるようになって、
やっとこの本の中身についていけるようになったんだ〜

今を生きることも書いてある。
ぜんぶ一度読んだはずなのに、どれほど浅く読んでいたことか。

上の文章は多少端折ってるけれど、現代のアメリカで暮らす、
ネイティブアメリカンと裕福なアメリカ人の生活のようす。

豊かなはずの生活をしている人がどれほど不安定な状態で暮らしているか。
ひとたび、会社から離れたら、弱くモロい。

いろいろな先住民族の習慣と考察が書かれているのだが、
オーストラリアのアボリジニの例が、感慨深い。

1900年初期に、ヨーロッパ人の宣教師がアボリジニの子ども達に
「フットボール」を教えた。
ところがアボリジニの子ども達は、
両方のチームが同得点になるまでプレーをやめなかった。

彼らの考えでは、両チームの得点が同じになった時が試合の終了を意味した。
これにはゲームを教えたイギリス人の宣教師達が面食らった。
宣教師たちは一年かけて、
ゲームには勝者と敗者がいるべきであることを子ども達に説得した。

こうした先住民族の人たちは「私」という一人称はつかわない。
「われわれ」と言うそうだ。
短期的な利益のために誰かを犠牲にしたり、環境を破壊することはできない。
他の命とつながっているという成熟した意識がある。

地球全体の自然から分離することは、成熟した文化ではない。

d0166615_854524.jpg


どんな行為が自然から分離してるか、
先住民族の人は敏感にわかるんだろうな。

ああ、やっとこの本の意味がわかるようになった。。。
真実ばかりぎっしり詰まってるのに、
ウェティコ文化まっただ中で暮らしていた私にはわからなかった。

やっと、やっといろんなナゾがとけてきた。

ベーシックインカムを成熟した文化からみるとどうであろう。
どんなところに注意して、実行できるだろうか。
どんなふうにすれば、有り余る中での貧困者を救えるのか。
[PR]
by wakeup71 | 2010-05-27 08:55